誰がアフガニスタンでの戦争続行を望んでいるのか?

以下は2010年3月30日付アフガニスタン・イスラーム首長国公式サイトに掲載された論文の私訳です。

http://124.217.252.55/~shahamat/english/index.php?option=com_content&view=article&id=1289:does-america-want-peace-in-afghanistan&catid=2:articles&Itemid=3

「誰がアフガニスタンでの戦争続行を望んでいるのか?」

米国防長官ロバート・ゲーツはある米上院委員に対し、現在はタリバンとの和平交渉を始める適切な時期ではない、と述べた。彼は、適切な時期とはアメリカの出す全ての条件を飲まざるを得ない瀬戸際までタリバンが弱体化したときであると言った。同様に、バラク・オバマ米国大統領は、アフガニスタンからアメリカに対する軍事攻撃が行われるのを防ぐため、米軍は長期間にわたって同国に駐留することになるだろうと述べている。イスラーム首長国の影響力の急速な拡大を見る限り、アフガニスタンでのジハード運動を打ち負かそうという敵の夢想が現実になることも、彼らがアメリカ人植民地主義者の用語や条件を受け入れざるを得ないほど弱体化するということも、決してないだろう。しかしながら、このような非現実的な方針の採用によって、ワシントンは単に戦争を引き伸ばし、その結果、人々の惨禍を増大させている。
アフガニスタン・イスラーム首長国は、アフガニスタンの国土はいかなる国との敵対にも使用されてはならず(訳者注:対米攻撃のためのアルカーイダの隠れ場にさせない)、そのことを保証する準備があるという公式の方針を、すでに繰り返し説明してきた。しかしながら、外国の侵略軍は、完全かつすみやかにアフガニスタンから撤退しなくてはならない。国産の国民的な(訳者注:国際ジャーハード主義者の影響で生まれたわけではない)イスラーム運動として、イスラーム首長国のアジェンダは、国の再建と発展、人々の繁栄、友好国との相互協力、正義と平和の達成、汚職と腐敗、そして他国からの内政干渉の根絶などを中心としている。
それに比べて、米国の指導者たちは、パシュトゥーンの民族浄化がその政策である悪名高い軍閥たちによって率いられた北部同盟との協力により、不寛容な植民地主義的指針を追求してきた。また、北部同盟の軍閥たちは、戦争を引き伸ばす目的で、ホワイトハウスの指導者たちや米国防総省の将軍らに対し、歪曲した情報を提供している。このように、彼らは国に燃え盛る戦火を持続させ、国内の対立関係についてのアメリカの情報不足とその横柄さにつけこむことで、肥太ろうと望んでいるのだ。
侵略者たちのこの弱みを利用して、軍閥たちは政府に要職を占め、アメリカによって与えられた現金の利権と請負仕事とによって何百億ドルもの金額を蓄積してきた。しかしながら、もしもアメリカがこのような一方的な方針を貫けば、ついに突然の崩壊と完全な分裂に終わる日も近いであろう。先例としてソビエト連邦がある。十年間に渡って、かつてのソビエト連邦の指導者達はアフガニスタンからの早期撤退という賢明な判断によって自国を混乱から救い解放することが出来なかった。それはソ連の政治システムの崩壊をもたらした。
アフガニスタン・イスラーム首長国は、全世界の前に曖昧さのない言葉によって目標を提示している。すなわち、
① アフガニスタンからの外国軍の完全撤退。
② (訳者注:外国侵略軍からの)国土の解放。
③ 国民の希望に基づき、国にイスラーム体制を樹立すること。
④ 人々の復興と発展、そして繁栄。
⑤ あらゆるエスニック集団からの全ての敬虔で有能なジハードを闘うアフガン国民の政府への参加。
イスラーム首長国のメンバーは、これらの目標を平和的手段、あるいはジハードに訴える選択肢によって達成することを決定している。
アフガニスタンにおけるアメリカの指針は、いわゆるテロとの戦いに基づくものではなく、むしろアジアにおける戦略的目的を達成するための占領であることは明白である。問題は、アメリカがアフガニスタンから撤退することによってアフガン人に解放される権利を与える準備がワシントンにはないことである。彼らは浅薄にも民主主義と人権をスローガンとして掲げて占領を続行しようとしているが、自らが人権と民主主義の価値観の厚顔無恥な冒涜者なのである。彼らが戦争をテロとして宣伝するのは、アメリカ軍のアフガニスタン駐留を正当化するためなのである。