「アフガニスタン・イスラーム首長国とその成功を収めた行政」全訳
(序)
イスラーム国家であれ、民主主義国家であれ、専制主義国家であれ、その成功が、また宗教機関であれ、教育機関であれ、政府機関であれその他の何であれ、その繁栄がその組成の正しい管理(高貴な目的、指導者の手腕、取り巻きの自己犠牲など)と秩序立った運営に依拠していることは先人達の経験から明瞭で、我々の目撃した物事から確証される。この問題における完全な成功は、下された決定、制定された行政命令、確定した原則の施行において、それを指揮する者たちの献身的な尽力を必要とし、またその実行を託された者たちを選ぶに当たって清廉な運営に留意しなければならない。
成功を収める行政の要因の網羅や、イスラーム的行政の特性の解明を私は目指しているわけではない。ここで私に関心があるのは、、アメリカとその同盟軍、彼らの残忍な犯罪行為との戦いと聖なるジハードに忙殺されるあらゆる側面での困難な状況に抗しての(アフガニスタン)イスラーム首長国の行政と規制における政策に光を投げかけることにある。また私は、(アフガニスタン)イスラーム首長国の政体、あるいは人々の言うところのタリバンの政体について、アッラーのお助けによって、あなたがたに、ささやかな情報を提供することに努めたい。おそらくアッラーはそれによって我らの雑誌『抵抗』の読者たちを益し給い、信仰する者たちの心を癒し喜ばし給おう。それはアッラーには難しいことではないのである。
求められる目標の高貴さ、望みの目的の聖化、それから行政に携わる者たちが全く明らかになるまでそれを調べた後に彼らの心中に根を下ろさせることが、宣言された求められる目標の実現の成功のための、強い要因であり、働く者たちの心の中に利他、滅私、自己犠牲の精神の活性化の背後に隠れた秘密である。なぜなら彼らは自分たちの任務の重要性を理解すれば、自分たちに託された任務の全うするために、競い合って邁進し、最高の目標、神聖な目的の実現のために自分たちの力の限りを尽くすからである。それは彼らが自分たちの活動の奥、彼らの価値ある仕事の屋上に賞賛されるべき結果と大きな福利を見出すからである。アッラーはそれについて仰せである。「我らが地上で地位を確立し、礼拝を遵守し、浄財を納め、善を命じ、悪を禁じた者たちには、アッラーの御許にその結末がある。」(巡礼章41節)
加えて有能な者たちから役人を募集し、篤信と清廉の条件を満たした専門職集団を選抜する必要がある。篤信を欠く専門職は行政を腐敗させ、能力を欠く敬虔は行政を弱体化させる。しかし両者(篤信と能力)が背反するなら、篤信が優先される。なぜなら彼(無能な敬虔者)は両足を縛られた牧人と同じで臣民の利益も人々への奉仕もできないが、(有能な)悪人は獰猛な狼で地上に悪を撒き散らし人々に害をなすからである。それは知者たちの許では害の排除が益の追及に優先されることが認められている通りである。ともあれ、適切な者たちを選任することは、成功を収める行政の諸要因のうちでも大切であり、それは「アッラーは汝らに信託物をその持ち主に返還することを命じ給うた」(女人章58節)との至高者の御言葉の帰結であり、また「アッラーの御許で汝らのうちで最も高貴な者は最も敬虔な者である」(部屋章13節)との御言葉もそれを指しているのである。
また宗教、思想、政治において民衆を統べる指導者の人格が優れていることも、重要性においてこれまで述べたことに劣らず、成功を収める行政の最重要要因に数えられる。なぜならば指導者こそは物事が立脚する枢軸であり、彼が自らの判断で社会をその目的の実現のために差配し、人々を善と幸福に導き、彼らに悪と破滅を諌めるからである。それゆえ自らの創造主の庇護者(アッラー)に頼り一任した後には、勤務者であれボランティアであれ自分を助ける者全ての活動を自分への協力の雰囲気の中で、設定された目標に方向付けることが、指導者の任務の一つとなる。同様に彼は、鈍い心、眠った目を呼び覚まし、人的力を高貴な目標、至高の目的の実現に向けての献身のために活性化させる強い感情を生み出す責任がある。なぜならイスラーム法学と神学の書物に詳述されている自由人身分、男性性、理性と感覚の健常、学識と洞察力、力と勇気、英知と気配りなどの指導者の資質は、その目的のために求められるからである。
1-この短い序文に次いで、これから本題に移ろう。(アフガニスタン)イスラーム首長国はその体制において全面的にアッラーの書(クルアーン)とその使徒(ムハンマド)のスンナ(言行)、正統カリフたちのスンナと教友たち(預言者の直弟子たち)の言葉に依拠し、追随者たち(預言者の孫弟子)のファトワー(教義回答)と独自裁量(イジュティハード)を行ったウラマー(イスラーム学者)たちの見解を学び、過去の諸民族の歴史からも教訓を得る。またその体制には、なんとも神聖な目的、指導者の洞察力、その信仰の力、その体制の従事者たちの経験、献身、信頼性、能力などの資質のような、バランスの取れた成功を収める行政の諸要素が備わっている。
2-それゆえイスラーム首長国の行政制度は国の州への分割、適任で敬虔な知事の任命、役人の敬虔と正義への指導、現世と来世を目指す政治を行い人々の需要を満たし人々に宗教の諸事項を教えることを勧奨し、善を命じ悪を禁ずることに全力を尽くすことを勧めることにおいて、正統カリフ時代のカリフ制の諸原則に立脚しているのである。それでアッラーの道のムジャーヒド(戦士)たちの指導規則を定め、常に彼らの善導のための文書を送っている。それは彼らの行いを正し、彼らの考えを啓蒙するため、彼らが光明の中で教友たちに倣うためである。ウマル・ブン・アル=ハッターブは人々に説教して述べた。「人々よ、アッラーにかけて私はあなた方を苦しめ財産を奪うために総督を送ったのではなく、あなたがたの宗教と慣行を教えるために彼らを送ったのです。それゆれそれを少しでも超えたなら、私にそれを上訴しなさい。私は彼にその報復を行おう。」(Dr.ハサン・イブラーヒーム『イスラーム史』1巻455頁)。またウスマーン・ブン・アッファーンは諸地方の彼の総督たちに書き送った。「アッラーはその領袖たちに牧人となるように命じ給うた。彼らは取税人になるようには命じられていない。このウンマ(ムスリム共同体)は初め牧人として創られ、取税人としては創られなかった。しかしあなた方の領袖たちは取税人になり、牧人ではなくなろうとしている。もしこのように法を超えれば、羞恥心、信用、誠実さは失われてしまう。最もよい生き方はムスリムの問題と彼らの義務を観察し、彼らに権利があるものを与え、彼らから彼らに課されたものを取りたてることではないか。」(同上、1巻455頁)
3-我々の国、イスラームのアフガニスタンの面積はおよそ65万平米に達し人口は3千3百万以上であり、それぞれカンダハール、ヘルマンド、バルフなど、州(wilayah)と呼ばれる34の行政単位に分かれる。州はその大小に応じて、ヘルマンド州のマールジャ、カンダハル州のウルガンダーブなど、数々の管区(mudiriyyah)に分かれ、それぞれの管区は多くの地区(mintaqah)、村落(qaryah)を含み、管区の数は400、地区、村落の数は数万にのぼる。
4-村落には首長国から選ばれた村長が居り、村の民事軍事に責任を負う。彼には状況に応じて10人から50人のムジャーヒド(戦士)がつく。前村長が殉教死するか、職務に支障をきたした場合、彼ら(ムジャーヒド(戦士))の間の互選で新村長が選ばれるが、対立があった場合には、その問題は彼らの上級司令官に奏上される。この小隊は「前哨隊(jabhah)」と呼ばれ、昼夜を問わず占領軍の攻撃、戦闘に即応する。またそれは住民にとって、自分たちの間の問題であれ、別の村との間の問題であれ、苦情を持ち込む届出先となる。些細な問題の場合は、問題は部族の有力者の調停に委ねられる。重大な問題は、尊きシャリーア(イスラーム法)の法規に則って当事者の間を裁くために、案件は管区の上級の責任者に上げられる。
5-州の管区の全てに住民の間で敬虔をもって知られた管区長(hakim)がおり、彼にはその地区の事情に通じた副官がいる。彼(管区長)の指揮下で、紛争処理のための司法委員会、教育問題に関わる初等中等教育委員会、戦争を担当する軍事委員会などの委員会が活動する。代官はその管区の全ての地域と村落の長たちの司令官であり、彼がその地区でシャリーアの裁定の訴えにも責任を有する。その(管区長)の任免は、州知事と州レベルの軍事委員会の諮問の上での(首長国)最高指導部の権限である。彼(代官)は州知事の指揮下で働くその管区の直接の責任者である。
6-国の州は全て独立の単位であり、それには知事(wali)と呼ばれる長がいる。彼(知事)には補助する副官がおり、彼(知事)が最高指導部に対するその州の直接の責任者であり、その軍事、民事、財務、司法を司る。この重要な職には多くの場合、経験を積んで有能な宗教心と人徳を有しアッラーのための何者をも恐れずに諸事の処理の出来る信頼に足る誠実な者が任用される。彼の職務にはシャリーアの諸規範、法定刑罰(hudud)の執行、管区長たちの監督、戦争の作戦の実行、財源と支出の監査が含まれ、司法、軍事、財務、初等中等教育委員会などの州レベルでの権限を有する諸委員会が彼と協同する。その(州知事)の任免は高等諮問評議会の諮問を経て最高指導部による。
7-これらの上に、アフガニスタン・イスラーム首長国(全国)レベルでの大きな権限を有する中央委員会の役割が来る。どの委員会も委任された職務に通じた信頼のおける献身的な複数の委員で構成される。そしてこれら(委員会)は、首長国の現行制度において、事情によりかつての「省(wizarah)」の役割を果たしている。それは以下の通りである。
(a) 国防省に相当する軍事委員会。若者に聖なるジハードの準備を施し、ムジャーヒド(戦士)に武器、弾薬、兵糧を供給し、軍事作戦計画を立案し、侵略軍の基地やその手先たちの隠れ場への攻撃の指令を出すなど、軍事問題を処理する。
(b) 布教・教導委員会。大ウラマー(イスラーム学者)から構成され、重要な法学的問題に関するイフター(教義回答)を行い、またウラマー、布教師の任用、ムジャーヒド(戦士)の教導、住民の教化、司令官と部下たちへの忠言を行う。
(c) 文化・広報委員会。「信徒たちの司令官(Amir al-Mu’minin:首長)」の声明、最高指導部、高等諮問評議会の裁定、声明、決定を放送し、様々な言語で新聞や雑誌を発行し、ムジャーヒド(戦士)たちの宣教、戦果を伝え、また嘘つきの敵たちによる虚報、流言飛語や陰謀に反撃し、インターネットの複数の重要なサイトを通じて彼ら(敵)の主張を論駁する。
(d) 政治委員会。外務省に相当し、外交関係を担当し国際関係の樹立、その拡大、促進に大いに尽力している。
(e) 初等中等教育委員会。各種の学校の建設、教育カリキュラムの作成、州の校長(ru’asa’ ma`arif) の選任、学校の教師と事務機構の任用を行う。それはイスラーム学と近代的学問の普及、社会からの文盲の一掃と無知の撲滅、新世代の育成のためである。
(f) 財務委員会。首長国の財源の拡大、出納処理、支出監査などを行う。
(g) 捕虜・孤児委員会。孤児と捕虜も問題を担当し、捕虜の解放に尽力し、彼ら(捕虜たち)の子弟、殉教者たちの子弟の教育、彼らとその家族の扶養を行う。
(h) 保健委員会。ムジャーヒド(戦士)たちの負傷者、病人の治療を行い、彼らの扶助、治療中の静養所の提供に留意する。
(i) 外国機関委員会。それら(外国機関)に緊急避難地への立ち退きを求め、我々の信仰に有害な活動をしないように、それらの活動と従業員を身近に監視する。
8-高等諮問評議会は、イスラーム首長国の幹部からなり、そのメンバーの任免は信徒たちの長によって決まる。この評議会の権限には、アフガニスタン情勢の監督、内政、外交の諸問題の適切な解決の探求、首長国(全国)レベルの諸委員会の活動の指導、国際的、(中東・中央アジア)地域的、国内的な事件に応じての声明の発出、クルアーンとスンナに照合した法令の発出などがある。
9-最高指導部は、最高指導者「信徒たちの長」ムジャーヒド(戦士)モッラー・ムハンマド・ウマルに代表され、我らが兄弟「司令官」ムジャーヒド(戦士)は、聖なるジハードの直接の指揮者であり、ムジャーヒドの最高指揮官、信徒たちの指導者との資格において、アフガニスタンの軍事・民事全てについての最高司牧者である。その説教や言説から明白であるように、彼は自分自身、その家族、親族、部族、兵士、部下から始まり、その臣民、世界の全てのムスリムに至るまでに対して、アッラーの崇高なシャリーアに裁定を求めるようになることを切望し、また彼の前任の敬虔な(信徒の)司令官たちに倣って、職務をその適任者に割り振り、取り巻きを清廉に厳選し、信頼できる適切な者たちを近侍、側近に選ぶことによって公正な統治に努め、政務についている部下たちの行動を身近に監督し、内密の場と公開の場(両方)においてアッラーを畏れ身を慎むことを彼らに訓戒し、彼ら(部下)に臣民に彼らが権利を有するものを与え、彼らにいかなる危害も加えないように命令している。
10-彼(信徒たちの司令官)の信頼すべき二人の副官は、篤信と敬虔におけるその助手であり、国土に天与のアッラーのシャリーアを施行するための彼の両腕である。両名は熟練の指導者の命令を何物も付け加えず何物も省かず完全に忠実に実行する。この両名が彼(信徒たちの司令官)のジハードの諸事、当局の活性化、高等評議会の会議や諸諮問会議の開催、イスラーム首長国の諸事万端の運営の遂行に責任を負う。
結語
イスラーム首長国の指導者のアッラーへの信仰の強さ、その目標の神聖さとそれがその従事者たちの心中に深く根を下していること、適任者の選抜による行政の清廉が、英雄性の鍵であり、この国の聖なるジハードの成功の秘密なのである。特に信仰の力とは、英雄的指導者ムジャーヒド(戦士)モッラー・ムハンマド・ウマルが「否」と、不信仰者どもの侵略、無防備な民衆への彼らの襲撃に対して、至高全能のアッラーにのみ拠り頼み、占領に「否」と言い、「我々にはアッラーだけで十分、なんと良き後見人であることか」との先人たちの言葉を繰り返し、宗教と名誉を守るためにジハードを命じたことである。
疑いなく、ムジャーヒドたちはアッラーの側近である。もしムジャーヒドがアッラーの側近でないとすれば、特に我々のこの時代、誰(がアッラーの側近)なのか。そして高潔なウラマーたち、シャリーアの学究たち、アッラーに仕える義人たちが、彼ら(ムジャーヒド)を統率しているのである。またアフガニスタン・イスラーム首長国の求める目標、望む目的は、アッラーの至高の御言葉の宣揚と文字通りのイスラーム政府の樹立、アッラーの敵であるアメリカ人のこの国からの追放である。アッラーは、不信仰者たちの言葉を卑しめ給い、アッラーは真理を真理となし、虚偽を虚偽となし給います。アッラーは聖なるジハードによりイスラームとムスリムを栄誉を与え、多神崇拝と多神教徒たちを卑しめ給います。それゆえ、それにおいて、競い合う者たちは競い合うがよい。
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